所要マイクロ波加熱装置の具体化検討

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22.マイクロ波加熱装置の具体化検討

いざマイクロ波加熱装置の導入を計画する場合、或いは引き合いがあった場合、加熱対象物のマイクロ波加熱の可能性(被加熱物がマイクロ波を吸収するか…? 被加熱物の中心までマイクロ波が浸透するか…?)、所要マイクロ波電力、適応加熱炉の構造や使用マイクロ波応用機器、ランニングコストなどを検討することになるが、それらについて、ある含水率の食材(被加熱物)の水分を加熱・蒸発・乾燥する場合を例にして検討してみる。

22.1 被加熱物がマイクロ波エネルギーを吸収するか…?

被加熱物のマイクロ波損失係数が分れば加熱可能かの判断が出来るが、一般的には被加熱物である食材には水分が多く含まれるのでマイクロ波損失係数も大きく、水を除いた物質もマイクロ波エネルギーを吸収するものが多く、直感的にマイクロ波加熱されると判断して良い。もし、食材に限らず各種被加熱物でマイクロ波の吸収特性に不安を感じるのであれば、家庭用電子レンジを利用することによっても加熱の可否の判断は十分可能である。マイクロ波損失係数が不明な被加熱物をマイクロ波加熱可能かの確認をしたい場合は、まず電子レンジで加熱して処理可能か判断することをお勧めしたい。

22.2 被加熱物の中心までマイクロ波加熱可能か・・・?

電力半減深度の大・小により均一加熱の可能性を確認するには、損失係数が分っていれば計算により判断できる場合もあるが、実際に処理する大きさの被加熱物を電子レンジで加熱し確認するのが最も確実である。しかしながら、被加熱物の大きさによっては電子レンジに入らない場合もある。このような場合、マイクロ波加熱装置のメーカには大きな照射部を有する加熱装置や各種の特殊な加熱炉などが用意されており、それを利用させてもらうのが確実である。

22.3 所要マイクロ波電力の算出

前記22.1 及び22.2 から被加熱物がマイクロ波加熱可能と判断された場合、処理量からどの程度のマイクロ波電力が必要なのかを検討することになる。これが分れば設備規模、装置概算価格、ランニングコストなどが算出でき、装置を導入した場合に経済的に割が合うか…?などの判断も可能となる。

(1) 電子レンジによる加熱実験データの利用

電子レンジを利用して加熱実験を行い、得られた加熱処理条件(処理量、処理時間、定格高周波出力など)から実際の処理量に対する所要定格高周波出力(電子レンジ特有の値)を比例計算により算出することが可能となる。

但し、ここで注意したいことは、サンプル量が数十g程度での実験データである。この程度のサンプル量ではマイクロ波吸収効率が低い領域にあり、この実験データを基準に実際の処理量に合わせてスケールアップすると、とんでもない所要定格高周波出力が算出されてしまうことになる。少なくともサンプル量は数百g以上、可能なら1kg以上での実験データを利用した方が精度の高い所要定格高周波出力が得られる。

更に、ここで得られた「所要定格高周波出力」は、工業用加熱装置の「所要マイクロ波電力」とは異なるもので
あ、マイクロ波吸収効率を考慮する必要がある。即ち、所要定格高周波出力を吸収効率「0.7〜0.8」程度で除した値が実際に必要なマイクロ波電力であることを忘れないようにしたい。

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