所要マイクロ波電力の算出法

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A 計算例

初期含水率40(%、湿基準)、絶乾での比熱0.20[kcal/(kg・℃)]、初期温度20(℃)の被加熱物を処理量100(kg/h)として絶乾状態まで乾燥する場合の概算電力を求める。

1時間あたりに蒸発させる水分は

100×0.40=40(kg/h)

であるから、

「1h→1kg→1kW」関係から

「1h→40kg→40kW」

となる。ちなみに式(21.3.2)式から求めた所要マイクロ波電力は約48(kW)となる。約8(kW)の違いは、乾物の温度上昇分であり、含水率が小さくなればこの差はより小さくなる。

(3) 解凍の場合

冷凍食品などを解凍処理する場合、その被解凍物の融解熱を考慮して所要電力を求めれば良い。水の場合の融解熱は80(kcal/kg)で理論的には0(℃)で発生する。しかしながら、経験的には冷凍畜肉、魚などを解凍する場合の融解熱は、40〜60(kcal/kg)程度と若干小さく、発生温度も−10〜−1(℃)程度の範囲であり、−1〜−4(℃)の所謂「最大氷結晶生成温度帯」までの解凍の場合では融解熱を100%考慮しておく必要がある。

どの程度の融解熱を考慮するかは、マイクロ波加熱により解凍実験を実施し、必要なマイクロ波電力を求めた方が安心できる。この確認を怠ると、処理量を賄うのにマイクロ波電力が過剰であったり、少なくて所定の処理量が確保できないなどのトラブル発生の要因となることがある。

(4) 化学反応の促進

ある種の化学物質の反応を促進するのにマイクロ波加熱を利用することが実用化されている。例えば、既に応用例の後半に記述した硝酸プルトニウムと硝酸ウラニ−ルの混合溶液を、マイクロ波エネルギーを利用して脱硝(硝酸溶液を蒸発させる)、更に350(℃)程度まで加熱し、硝酸塩を分解しNOXを放出すると二酸化プルトニウムと二酸化ウラニウムの混合酸化物(MOX)を得ることが出来、この過程が化学反応と言える。この処理方法は我が国独自の技術で「マイクロ波直接脱硝酸処理」と称されており、核燃料サイクル機構、日本原燃株式会社で採用されている。

補足説明

SI単位では熱量の単位として「J」を採用しているが、本稿では「cal」を利用している。

尚、「J」と「cal」と「kW」の換算は次の通りである。

1(cal)=4.186(J)=4.186(W・s)

1(W・s)=1(J)=0.2389(cal)=2.778*10-4(W・h)

1(W・h)=3600(W・s)=3600(J)=860(cal/h)

1(kW・h)=3600(kW・s)=3600(kJ)=860(kcal)

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