所要マイクロ波電力の算出法

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21.所要マイクロ波電力の算出法

21.1 所要マクロ波電力算出の位置付け

(1) 引き合い装置の見極め

マイクロ波加熱装置の引き合いがあった場合、まず検討するのが引き合い装置の所要マイクロ波電力である。この所要マイクロ波電力を算出することにより、引き合い装置の規模、概算価格、ランニングコストなどが算出可能となる。この段階で客先に「この程度の設備価格、ランニングコストになる」旨を伝えることにより、客先が今後の方針即ち「高価で手が出ない」ので引き合い中止、「この程度ならやれる」で引き合い継続との判断が可能となり、メーカ側としては客先を「篩にかける」ことが可能となる。設備価格も高くてランニングコストも決して安価ではないマイクロ波加熱装置で商売をする場合は、この「篩にかける」ことはメーカ側の開発・技術・設計・営業部門の客先対応などに費やす無駄な労力を省くためにも重要なことと言える。

(2) 処理条件の見極め

所要マイクロ波電力の算出は、客先より提示される処理条件により算出することになるが、この処理条件を客先より正しく聞き出すことも重要である。即ち、処理量などは、客先は希望的観測を込め実際の計画処理量より多めに提示するのが一般的である。従来の外部加熱の装置では、この処理量と所要熱量などの装置規模の関係はあまり厳密でなく曖昧ところがあり、処理量を段階的に区切った設備を用意していることが多い。

しかしながらマイクロ波加熱装置の場合、所要マイクロ波電力は処理量に比例して左右され、即価格に反映することになるため、処理条件の明確化は絶対必要である。従って、処理条件である「材料・材質、処理量、加熱か…? 乾燥か…? 反応か…? 温度条件(初期温度、到達温度)、含水率の条件(初期及び処理後、乾基準…? 湿基準…?)、比熱、融解熱、気化熱」など正しい値を入手することが必要となる。当然、比熱・融解熱・気化熱など水であれば特に問題ないが、他の物質では不明なことも多い。このような場合「この処理条件(含水率、乾物の比熱など仮定)で算出する」と説明し、客先の了解を得ておくことも必要となる。

尚、各種物質の比熱、含水率、融解熱、気化熱など調査した範囲の各種データは、第二部の付録に掲載してしている。

21.2 所要マクロ波電力の算出

(1) マイクロ波吸収効率:η

マイクロ波加熱及び高周波加熱における所要マイクロ波及び高周波電力P1は、他の加熱方法と同様、熱量計算により算出することには変わりは無い。マイクロ波加熱だからといって「損失係数;εr*tanδ」などを扱うことは無い。ある被加熱物を加熱・乾燥処理を行うときに必要とする熱量Q0(理論熱量とし、電力で表わせばP0となる)は、どのような加熱方式においても一定である。ところが、実際に用意しなければならない熱量Q1(被加熱物へ供給する熱量。加熱装置のマイクロ波電力P1と同義)は一般に理論熱量よりも大きくなる。この理論熱量Q0と供給熱量Q1の比は、マイクロ波吸収効率ηで表され(21.2.1)式の通りとなる。

η=Q0/Q1*100=P0/P1*100(%) ・・・・・・(21.2.1)

マイクロ波加熱でのマイクロ波吸収効率は、被処理物の特性(マイクロ波損失係数;比誘電率εr・誘電体損失角tanδの大・小)、形状(ブロック状、シート状、糸状など)、液体・固体・粉末・気体、加熱システムの構造(箱形オーブン、導波管形、共振器など)といった要因に左・右され変化する。又、次項で述べる反射電力や無効電力なども吸収効率に影響を与える。

吸収効率は100%であることが理想であるが、上記のような要因の影響を考慮し、比較的加熱効率が高いマイクロ波加熱でも、加熱効率は通常70%程度として計算するのが一般的である。加熱対象物のマイクロ波損失係数が小さい場合には吸収効率が極端に小さくなることもある。このような場合、マイクロ波加熱を利用することを躊躇する場合もあるが、従来方法と比較して品質や付加価値が著しく向上し付加価値が上がることとか、断熱材などのような従来の加熱方法では簡単に加熱できないものが加熱可能になるなどマイクロ波加熱の特長である内部加熱が生かせることを強調し、ユーザに採用していただくよう説得することになる。

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