マイクロ波加熱の応用例

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原理は図19.3.41のように「高電界発生矩形導波管内にガラスクロスを通過させるようにしたもの」で、非常に簡単な検出装置である。基本的にガラスクロスはマイクロ波損失係数が小さく殆どマイクロ波エネルギーを吸収しない。ここで導電性物質が溶け込んだガラスクロスが導波管内に入ると、その導電性物質はマイクロ波エネルギーで誘導加熱されることになる。溶け込んでいる導電性物質の直径はμオーダと非常に細く、高周波電流の浸透深さと同等のレベルとなっている。従って、金属ヤーンは瞬間的に発生する電流によるジュール加熱により発熱して(放電が発生したようになる)、図19.3.42にあるような金属ヤーンを包んでいるガラスが瞬間的に発熱溶融・飛び散り・固まったような状態となる。

この時当然放電光が放射されるので、この光を導波管の短辺側に40mmピッチ程度で設けられている光電センサーで検知し、ガラスクロスの欠陥部にマーキングするようになっている。尚、マーキングされた不良部分は後工程で除去するようになっている。

(2) マイクロ波エネルギー送電

電気エネルギーをA地点からB地点へと無線で送電することが管理以前から考えられている。宇宙空間に巨大な太陽光発電システムを設置し発電した電力をマイクロ波に変換し地上の受信基地に送電するものであり、1968年に米国のピータ・グレーザという方が「SPS構想(SolarPower Station)」を発表している。これは地上での太陽光発電に比べて、宇宙空間で発電すれば強いエネルギーが得られ、24時間発電も可能との特長を有している。

本構想を更に発展させ1974年に米国・MIAMI大学でのシンポジウムで、大規模な宇宙発電送電計画「SSPS(Satellite Solar Power Station)が発表され、図19.3.45 のような概念図が示されている。これによると宇宙ステーションに設置される太陽電池(6km*20km程度)により電力800万kWを発電し、この電力をマイクロ波に変換し地球へ電送、地上で500万kWの電力を得ようとする壮大な計画である。システムの総合効率を56%程度と推定している。
マイクロ波エネルギーによる電力の送電基礎実験としては、1969年に米国・レイセオン社において地上から放射したマイクロ波エネルギーを受けて模型のヘリコプターの滞空実験に成功している。
我が国では1975年(昭和50年)に発振周波数2.45GHz、マイクロ波電力10kWの送・受信装置によりマイクロ波エネルギーの電送実験が電総研において実施されている。1992年には、京都大学・超高層電波研究センターにおいて送電マイクロ波エネルギーにより模型のプロペラ機を飛ばす実験を実施して成功している。

図19.3.45 SSPS計画・概念図
図19.3.45 SSPS計画・概念図

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