マイクロ波加熱の応用例

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図19.3.34はプラスチック漆器塗料膜マイクロ波乾燥装置でマイクロ波出力15kW(周波数2.45GHz)、赤外線ヒータ容量 12kWのコンベヤ形加熱装置である。本装置の処理能力は稼働時間8時間で汁椀10000面、重箱で5000面程度である。
通常マイクロ波加熱装置のコンベヤはガラス繊維にテフロンを含浸した複合材製ベルトを利用するが、本装置では遠赤外線ヒ−タを使用しているため、何等かの異常が発生しコンベヤが停止した場合、その余熱によりコンベヤベルトが焼損することが懸念される。これを防止するため金属製スラットコンベヤを採用、スラット自体をオ−ブンの底部を形成するようにしたことが特長の一つである。当然ながら、オ−ブン側は固定、スラットは移動するため、電波漏洩防止には「λ/4・チョ−ク」を利用している。

図19.3.34 漆器塗料膜乾燥装置
図19.3.34 漆器塗料膜乾燥装置

(4) 断熱カップの発泡処理

定在波式加熱炉を利用した加熱対象物はパイプ内を通過する牛乳、酒、飲料水のような液体或いはジャムのような粘性のある流体が多いが、流体以外の加熱例をここで紹介したい。

それは即席ラーメンなどを入れる容器や自動販売機で熱いコーヒーなどを入れる紙コップの断熱機能生成の処理例である。

これらの食材は熱湯が入ることが条件であり、容器は火傷防止の観点から断熱構造にする必要がある。コップの材料の断面は紙・ポリエチレン(PE)フィルム・発泡シート(水を含んだPE)など複数の層からなっており、発泡シートを加熱することにより発泡処理を行なっている。実際にはコップの形状に組み上げられたコップをコンベヤで一列に連続的に搬送しながら、200℃程度の加熱炉内を2分程で通過させる所謂外部加熱により発泡処理を行っている。

この従来の外部熱源に代えて内部加熱であるマイクロ波加熱でも格段に早く発泡させることが可能である。加熱炉は既に説明した図13.4.18を基本に図19.3.35に示す定在波導波管形加熱炉相当(炉の大きさはコップの大きさに合わせる)にターンテーブルを組み込んだ構造となっている。加熱処理条件は発振出力1.5kW、加熱時間7〜8秒で発泡処理可能である(整合器を利用したマッチングは必要で、マッチング無しでは発泡処理は不可能である)。加熱時間10秒を超えると焦損してしまう結果となっている。尚、図中の摺動短絡面からの距離「λ/4」の位置はカップの中心でなく、カップの中心(ターンテーブルの中心)よりズレタ位置となっている。

図19.3.35 コップ発泡処理加熱炉
図19.3.35 コップ発泡処理加熱炉

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