マイクロ波加熱の応用例

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19.3.4 鋳物関係

鋳物関係では自動車、農機具、ブルドーザ用エンジンのようなものを大量生産する業界で利用されている。鋳物製エンジン素材の製造過程で砂型や中子を大量に使用する。この砂型・中子の硬化(キュアリング)処理、複雑な砂型同士を圧締しながらの加熱・接着処理、塗型剤の乾燥処理などに利用されている。

更に精密鋳造方法であるロストワックス法でも利用されており、以下それら概要を記述する。

(1) 砂型の乾燥硬化(キュアリング)及び接着

鋳物関係の砂型・中子のキュアリング(硬化)、複雑な形状の砂型・中子を製作する場合、幾つかの砂型を組み合わせ砂型同士を接合して製作することが多く、このような場合にマイクロ波加熱が利用されている。特に砂型同士の接着では、接着剤が選択的にマイクロ波加熱され硬化・接着処理を促進する特徴がある。尚、接着剤によってはマイクロ波エネルギーをより選択的に吸収させるため損失係数の大きい酸化物やカーボン粉末などを混入する場合もある(重量比で10〜20%程度)。
砂型の硬化処理(キュアリング)には発振出力数kW〜数十kWのバッチ式やローラコンベヤ式(間欠搬送)装置が、砂型の接着用には出力数kW〜十数kWの装置で、砂型同士を圧締する必要があるためプレス機構を内蔵したオーブンとなっている。前頁の図19.3.26はプレス内蔵マイクロ波砂型接着装置の外観を示している。

図19.3.26 プレス内蔵加熱装置
図19.3.26 プレス内蔵加熱装置

(2) 塗型剤の乾燥

砂型に塗布されたカ−ボン系・ジルコン系などの水溶性塗型剤(使用目的は、砂型表面を滑らかにするとともに、砂自身を湯に直接接触させること無く劣化を抑制するもの)の加熱・乾燥が速やかに出来る。各種エンジン鋳物製作用砂型を発振出力数十kWでローラコンベヤなどを利用した図19.3.27のようなコンベヤ形加熱装置が利用されている。
尚、溶剤を利用した塗型剤もあるが、この場合は溶剤が引火ガスとなる可能性があり、マイクロ波加熱処理の利用は避けたい。
補足説明
「新砂」と「再生砂」のマイクロ波吸収度合い鋳物砂は、使い始めの真新しい「新砂」と再生利用する「再生砂」とがある。砂の主成分はSiO2であり、マイクロ波損失係数が小さくマイクロ波加熱され難いが、新砂より再生砂の方がマイクロ波加熱され易くなるのが一般的である。
これは、砂を再生する前の鋳込み工程などで砂に塗型剤やカーボンなどが付着・混入したり、砂同士を接着・硬化させるためのバインダーなどの残存があり、砂の洗浄など再生段階でそれらを完全に除去しきれないため、マイクロ波エネルギーを吸収するようになると思われる。

図19.3.27 塗型剤乾燥装置
図19.3.27 塗型剤乾燥装置

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