マイクロ波加熱の応用例

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E 魚肉練り食品の膨化

マイクロ波加熱は、食品内部の自己発熱により急激に加熱されるため、外部加熱方式とは異なる製品を得ることが可能となる。ここで紹介するのは食材に含まれる水分が急激に蒸発・膨張することにより得られる食品の発泡・膨化例である。魚肉すり身、イカの粉末、小麦粉、澱粉、発泡剤、植物油、食塩、砂糖などを混合したものを、圧延装置で厚さ5mm、幅300mm程度のシート状に加工し水分の予調整を実施する。その後、コンベヤ式マイクロ波加熱装置に送り込み連続的に加熱・乾燥・膨化処理を行っている。この製品を裁断することにより「イカの珍味」となる。

図19.3.15は加熱・乾燥がほぼ終了し、食材が膨化処理されているマイクロ波オーブン内の状況を示したもので、食材は左より右方へ搬送されるが、左方の食材の波打ち状況が小さく、右方はそれが大きくなっており、膨化が促進されていることを示している。
このような製品を従来の外部加熱方式で行なうと、膨化を促進させるため高温の雰囲気下で処理する必要があり、過熱による製品表面の変色や焦げが発生し、表面が先に蛋白凝固してしまい水分の蒸発が抑制され十分膨化がしないなどの欠点があり、マイクロ波加熱はこれらの問題点をクリアできる製法として取り入れられている。

図19.3.15 珍味の乾燥・膨化
図19.3.15 珍味の乾燥・膨化

F 魚肉練り製品(カマボコ)の「足」出し

「足」とは、カマボコなど魚肉練り製品の弾力性・軟らかさ・歯切れの良さなどの食感を言い、魚肉練り製品の品質を表現する用語である。具体的には魚肉組織中の筋原繊維蛋白質の網状構造により成り立っており、特に「カマボコ」においては品質の生命とも言われる重要な特性と言える。

一般的なカマボコの「足作り」は「坐り」と言う方法を利用しており、10℃以下の低温で一昼夜放置する「低温坐り」と、30〜40℃の雰囲気下で数十分〜数時間放置する「高温坐り」とがあり、前者は高級品が対象となっている。
マイクロ波加熱処理は、従来の長い時間必要とする坐り工程を経ずに「足」を出すもので、図19.3.16にあるように混練りした10℃程度の加塩すり身を一気に45℃程度までマイクロ波にて加熱する処理方法である。

図19.3.16 すり身のマイクロ波「足」出し
図19.3.16 すり身のマイクロ波「足」出し

加熱されたすり身は、その後油揚げや蒸気などの外部加熱により85℃程度まで仕上げ加熱すると、従来の低温坐りと同等以上の食感を持ったカマボコ相当品となる。
尚、図19.3.17は「足出し」用コンベヤ形マイクロ波加熱装置の一例である。

図19.3.17 すり身・マイクロ波「足」出し装置
図19.3.17 すり身・マイクロ波「足」出し装置

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