マイクロ波加熱装置の試験・検査

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18.マイクロ波加熱装置の試験・検査

18.1 マイクロ波加熱装置の試験・検査概要

マイクロ波加熱装置及びマイクロ波応用機器などを設計・製作する場合、それらの装置及び機器が製作完了した段階で、調整を行い、それらの利用目的、安全性、機能、性能、制御・操作性などが設計通りであるかの評価を行なうことになる。或いは製作途中段階でも必要に応じ評価を実施することもある。この段階で万一検査不合格となった場合、製作工程が遅れ客先へ装置の出荷が出来ず納期遅れとなり客先に迷惑を掛けることになる。更に、メーカも売上が立たず両者が損失を蒙ることになってしまう。このような事態を避けるには試験検査を適切に行い安心して出荷するようにしたい。特に、購入部品の受入れ検査は確実に実施し、組立段階で仕様・寸法違いが発覚しないよう心がけたい。組立作業がストップしてしまうことは良く経験することである。

マイクロ波加熱装置は、一般的な産業装置とは異なり、目に見えないマイクロ波エネルギーを扱うことから、その調整、試験検査は、まずマイクロ波関係の安全インターロック関係を優先・先行させることになる。この試験に合格すれば、安心して各種試験・検査に進むことが可能となり、これを原則とすべきである。

18.2 マイクロ波加熱装置の試験・検査項目

表18.2.1 に試験・検査項目とその試験概要を示している。本表は第2部の一般的な装置の機械・電気的試験検査項目とマイクロ波面の項目を含めた約50項目からなる試験・検査項目の中からマイクロ波絡みの事項を一部抜粋(No, が飛び飛びとなっている)したものである。装置の機能によっては、例えば減圧装置のような場合、排気時間・到達真空度 ・リーク量などを追加・対応することとなる。尚、これらの試験・検査は装置組立終了後、調整が済んでから第三者が実施するのが理想的であるが、実際は納期に追われ調整と試験検査が同時進行することが殆どであり、組立従事者が試験検査作業を担うことも有り得る。このような背景から試験・検査項目の順番はマイクロ波関係の「安全インターロック関係」が最優先することを心がけて欲しい。

更に、これらの試験・検査項目には「出来れば実施した方が良い」も含まれており〔No,で( )付の試験項目が該当}、それらの試験検査を「実施する…?」、「しない…?」はメーカ及びユーザの考え方次第となる。可能であれば受注前・後の仕様打ち合せ段階で明確にしておき議事録などに残しておいた方が、後々何かトラブルが発生した場合、責任の範囲が明確になりメーカ・ユーザお互い納得して対処できることになると思われる。

第2部には、マイクロ波加熱装置の機械・電気・マイクロ波面の約50項目からなる試験・検査項目、その要領と判定基準の他、原子力関係で経験した試験検査についても記述している。

No. 試験・検査項目 試験・検査概要
(11) 高電圧部絶縁抵抗 マイクロ波発振機の電源入力接続端子とアース(筐体)間の
絶縁抵抗を1000Vメガーを利用して測定する。
18 非常停止
インタロック動作確認
非常停止スイッチ及び各種安全確認用インタロック項目の
動作に異常無いことを確認する
27 発振動作確認 マイクロ波発振機の各電源を印加し「高電圧 ON」状態で発振「入・切」制御により
発振動作することを確認する(マイクロ波エネルギーは発生する)。
28 電波漏洩量確認 マイクロ波照射部、マイクロ波発振機など電波漏洩個所付近を
所定負荷条件にて、電波漏洩測定器を利用して測定する。
32 オーブン出力 オーブン内に所定の水負荷を載置しマイクロ波を発振させ水に
吸収された電力を確認する。
36 耐放電 オーブン内部など所定負荷条件でマイクロ波電力投入時、
放電発生がないことを確認する。
37 温度上昇 「連続運転」終了間際に各部の温度上昇状況を触手などにより確認して、
異常値(60℃程度以上)を示す場所、温度値を記録する。
(42) 負荷VSWR確認 所定負荷状態にてパワーモニタなどを利用して入射電力及び
反射電力を確認して求める…High Powerによる測定。
44 整合確認 実際に処理する負荷或いは擬似負荷を利用し整合器でマッチング調整が
可能かを確認する…整合器を装着した装置の場合に実施。
(45) 実負荷運転 実際に処理する被加熱物が入手可能な場合、
それを利用して加熱処理を試みる。
(46) 加熱ムラ確認 実負荷或いは模擬負荷(ビーカ、コップ、PP容器など各種容器)を
利用して、加熱温度ムラを確認する。
(47) 方向性・結合度測定 方向性結合器(パワモニタ用)の方向性・結合度を測定する。
(49) 挿入損失・逆方向損失 アイソレータの挿入損失・逆方向損失をを測定する。
表18.2.1 試験検査項目、要領、判定基準など
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