誘電加熱装置

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(4) 冷凍食品の解凍

段ボール箱に入っている冷凍畜肉、魚介類・各種野菜・米飯・パン・果実などを冷凍したものの解凍に高周波加熱が利用されている。特長は従来の自然・流水解凍に比べて極めて短時間に、ドリップを殆ど発生させずに解凍可能なことである。
尚、マイクロ波解凍で昇華現象を利用した解凍法を別章において紹介しているが、これは比較的小さいサイズの物しか処理できないのが欠点である。理由は電力半減深度が浅いためである。これに比べて高周波加熱が優れている点は、周波数が低いため電力半減深度が大きく、大きいサイズの冷凍食品の解凍が可能と云える。図17.5.5は高周波解凍装置(テンパトロン)の外観を示し、主な仕様は次の通りである。

図17.5.5 高周波解凍装置(テンパトロン)
図17.5.5 高周波解凍装置(テンパトロン)

・発振出力:15kW

・周波数:13.56MHz

・処理量:500kg/h

(5) 悪性腫瘍ハイパーサーミア治療システム

ガンの治療には、手術・放射線照射・化学・免疫療法などがあるが、近年はガン組織を高周波により加温する治療法が注目を浴びている。
ガン組織が熱に弱いということは古くから知られている。電磁波を利用した加温は、マイクロ波加熱及び高周波加熱が考えられるが、マイクロ波加熱の場合は電力半減深度が浅く人体の深部の加熱が困難で、加熱ムラの発生も欠点と言える。代わって、高周波加熱は電力半減深度も深く人体の深部まで加熱可能で、電極形状を選択することにより人体の浅い部位、深い部位などと選択加熱することも可能である。

図17.5.6 サーモトロン
図17.5.6 サーモトロン

各種実験の結果、人体の加温には「8MHz」帯が最適との結果が得られ、現在は図17.5.6に示す装置(サーモトロン。高周波出力;〜1500W)が実用化されガン治療現場で活用されている。
図17.5.7は人体組織相当の模擬物質を利用した加熱例を示したもので、(a)は人体の浅い部位を、(b)は深い部位を加温した例である。これらの加熱部位の選択は、各種電極の組み合わせにより決まることになる。

図17.5.7 模擬物質による加温例
図17.5.7 模擬物質による加温例

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