誘電加熱装置

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(1) 高周波発振機の種類

@ 自励式高周波発振機

本発振機は、次頁の図17.2.2 にあるように外部から何ら励振を加えずに、自らの発振回路で電気振動を発生させるもので、その発振周波数は同調回路のL、Cの値により決まる。誘電加熱用としては主にこの自励式発振機が用いられている。これは回路や組立が簡単で保守が容易であるばかりでなく、更に負荷変動による陽極効率の低下が少なく、割合一定の電力を負荷に供給できるからである。

A 他励式高周波発振機

この発振機は次頁の図17.2.3に示すように独立した電気振動源があり、これを発振管の格子(グリッド)に加えて増幅し、その出力の一部をグリッド側にフィ−ドバックしながら振動(発振)を持続させるものである。本発振機の特徴は発振周波数が安定しており、受信妨害も少なく、負荷インピ−ダンスが変動せず、負荷同調回路の固有振動数が発振周波数と一致している時は発振出力も大きく、効率も良い状態が保持できる。しかし、負荷インピ−ダンスや被加熱物の特性が変動して、離調状態になると高周波出力が低下し、陽極損失が増加して効率が悪くなるなどの技術的問題のほか、極めて高価になることなどが欠点である。

(2) 発振回路

発振回路は負荷状況或いは処理条件によって異なるが、図17.2.2のように発振回路のコンデンサと並列に被加熱物を入れるものと、次頁の図17.2.3のように整合回路を通じて発振回路と負荷を結合するものとがある。
前者は構造が簡単だが、被加熱物の温度が上昇したり、水分が蒸発したりなどして負荷インピ−ダンスが大きく変化するため、発振周波数が変動・不安定でありISM周波数の範囲に収めることは極めて困難と言える。尚、ISM周波数以外の電波が外部に漏洩すると電波障害を起こすので高周波加熱装置全体を完全に遮蔽するシ−ルドル−ムを設けるなどして、電波が外部へ漏れないようにしなければならない。

図17.2.2 発振回路:直接負荷
図17.2.2 発振回路:直接負荷

後者は、整合回路の設計や構造を適切にすれば、被加熱物のインピ−ダンスが大きく変動しても、周波数の変動や、高調波の発生を少なくすることが出来る。従って、負荷回路からの漏洩電波での受信障害は、比較的少ない。即ち、この回路方式では基本波の周波数安定化制御、整合回路での高調波の抑制策が十分とれるので、電波漏洩防止対策が容易である。故に電極の完全遮蔽が困難な加熱装置や大出力の高周波誘電加熱装置はこの方式のものが多い。

図17.2.3 発振発振回路:整合回路付き
図17.2.3 発振発振回路:整合回路付き

発振回路や整合回路には、温度、出力電圧、出力電力、発振周波数など諸要素をフィ−ドバックすることにより、それぞれの安定化制御を取り入れることは容易である。

最近では、発振周波数 13.56MHzで発振出力 3〜5kW程度までは、三極管などの電子管を利用せずにソリッドステ−ト化(半導体化)された高周波発振機が商品化されている。

尚、マイクロ波帯域である周波数2450MHzでのソリッドステート化されたマイクロ波発振機の出力は、既に記述したように「100Wオーダ」と小出力であり、水晶発信器の小さな出力信号を大きく増幅したものとなっている。

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