マイクロ波加熱技術KnowHow

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15.3 マイクロ波吸収効率:η

ここで発振出力P0と発振出力がマイクロ波オーブン内の水負荷に吸収されるオーブン出力(定格出力)P1の割合をマイクロ波吸収効率η称し(15.3.1)式にて表わされる。

η=P1/P0*100(%) ・・・・・(15.3.1)

電子レンジの場合で「70〜80%」程度だが、工業用マイクロ波加熱装置の場合はオーブン形式などにより大きく変化し、水を加熱するという条件で概略以下の通りとなる。尚、損失係数(tanδ*εr)の小さい被加熱物ではマイクロ波吸収効率は低下するので注意が必要である。

*バッチ式・コンベヤ式オーブン;65〜80%。

*導波管形加熱炉;50〜80%。

*定在波形加熱炉;90%以上(パイプ貫通式で水溶液などの加熱。マッチングした状態)。

図15.3.1は、電子レンジ(定格高周波出力;1kW)を利用して負荷である水の量を変えた場合のマイクロ波吸収効率を示している。ほぼ水量に比例してマイクロ波吸収効率は良くなるが、水1.5l以上では吸収効率85%程度で飽和している。水量0.1l以下でも細かく水量を変え吸収効率を求めてゆくと、ある水量で突然マイクロ波吸収効率が80%以上と良くなることがある。これは対象マイクロ波加熱システムと水負荷との整合条件がたまたまマッチしたため生じる現象と言える。
オーブン容積27l(0.3m立方体)、発振出力1.5kWのバッチ式マイクロ波加熱装置で、水量1lを保持し、初期水温を15℃〜80℃ の間でマッチング状態の定格出力を求め、マイクロ波吸収効率を求めると「75±2%」となった。「±2%」は測定誤差の範囲と考えられるが、当然高温領域での放熱、蒸発水分を反映させての結果である。

図15.3.1 マイクロ波吸収効率
図15.3.1 マイクロ波吸収効率

マイクロ波損失係数は次項の表15.4.1の通りだが、水温が15℃と85℃の場合では、後者の方が電力反射率は小さく、マイクロ波損失係数も85℃の方が1/5以下にと大幅に小さくなっている。これを受けて高温の水の方が、マイクロ波吸収効率が低下するように思えたのだがそうとはならなかった。マッチングも水温が低い側で調整したものが、高温になっても殆ど反射電力は大きくならず、再調整する必要も無かった。たまたま使用した加熱装置がそうであったとも言えないことは無いが、これを言い換えれば、負荷として大きなマイクロ波損失係数を持つ水のような場合には、マイクロ波エネルギーの吸収度合いは飽和状態で、損失係数に桁が変わるような大きな差異が伴わなければ吸収効率にはあまり影響を与えないのではと考えられる。

尚、第二部では、この他にマイクロ波照射部で発生する各種放電現象とその対策、マグネトロンの信頼性、電力密度(W/cm2)と電界強度(V/m)の関係、冷却水の水質など各種Know Howを記述している。

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