マイクロ波加熱技術KnowHow

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尚、いろいろな受端インピーダンスに対する電圧(実線)、電流(点線)の定在波は位相が90°ズレルことになる。
ここで電圧或いは電流の最大値と最小値の比を定在波比(SWR)と称しているが、通常用いるのは電圧の定在波比であり、これをVSWR(電圧定在波比)と呼び「ρ」で表すことが多い。入射波と反射波の振幅をそれぞれ「Et」及び「Er」とすると、VSWR(=ρ)は次式より算出できる。図15.1.2 は入射波及び反射波の振幅Et及びErより形成された定在波を示している。

図15.1.2 定在波の電圧
図15.1.2 定在波の電圧

ρ=( | Et |+| Er | )/( | Et |−| Er | )

=| Emax |/ | Emin | ・・・・・(15.1.1)

更に、入射波と反射波の電圧の比を負荷の反射係数γと呼び、(15.1.2)式より求められ、VSWR(ρ)と反射係数γの関係は(15.1.3)式、(15.1.4)式の通りとなる。

|γ|=| Er |/| Et | ・・・・・(15.1.2)

ρ=(1+| γ | )/(1−| γ | ) ・・・・・(15.1.3)

γ=(ρ−1) / (ρ+1) ・・・・・(15.1.4)

尚、VSWR(=ρ)より入射電力Pt に対する反射電力Pr の割合を示す電力反射率αは(15.1.5)式より求められる。

α=[(ρ−1)/(ρ+1)]2×100(%) ・・・・・(15.1.5)

ここで、ρ=3及びρ=1.1とした場合、入射電力に対する反射電力の電力反射率αを求めてみる。

α3 =[(ρ−1)/(ρ+1)]2×100

=[(3−1)/(3+1)]2×100=25(%)

α1.1=[(1.1−1)/(1.1+1)]2×100=0.23(%)

電力反射率αは、それぞれ「25%」、「0.23%」となり、前者は反射電力が大きい、後者は反射電力が小さいという表現になる。

尚、次項の測定技術で記するパワーモニタより求めた入射電力Pt と反射電力Pr から次頁の(15.1.6)式を利用し反射係数γを算出し、その値を(15.1.3)式に代入することによりVSWRが求められる。

γ= ・・・・・(15.1.6)

マイクロ波関係の文献、カタログなどに記載されているVSWRは、それらマイクロ波応用機器の特性を示すものである。測定回路に使用するマイクロ波応用機器のVSWRはそれなりに特性の良い(小さい)ものを使用する必要があるが(VSWR=1.05以下。電力反射率0.06%程度)、しかしながら価格は高くなる。マイクロ波加熱装置のようにマイクロ波エネルギーのみを伝送するものであれば、VSWR=1.2(電力反射率0.83%程度)以下のものを利用していれば特に問題無いと考える。

尚、電圧定在波比の他に電力定在波比という言葉もあり「α2」に等しいが、これを利用することは稀である。

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