マイクロ波加熱

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B 焦げ目を付けることが出来ない。

被加熱物に焦げ目を付けるには食品の場合、対象部を150℃以上に加熱する必要があるが、誘電加熱の場合、水分が存在すると大気圧下では100℃以上にはならないため、被加熱物を焦がすことは出来ない。従って、食品に含水率10%程度以上水分が含まれている場合は、マイクロ波加熱のみで焦げ目を付けることは不可能に近い。食品の含水率が10%以下になれば、マイクロ波加熱でも焦げる温度まで加熱することは可能だが、これでは被加熱物によっては、水分が無くなり、風味も無く、食品としての位置付けは無くなってしまう。更に、マイクロ波加熱では被加熱物の表面より内部の方が温度上昇することが多く、表面を綺麗に焦げ目を着けるのはやはり難しいと言える。食品に焦げ目を付けるには、ヒ−タなどの外部加熱源を併用するか、電子レンジで使用されている特殊皿・金網(マイクロ波を吸収しやすい材料を利用して高温に発熱させる)などを利用することもある。

C 被加熱物内に金属片がある場合、放電が発生することがある。

電子レンジで金粉・銀粉を利用して絵付けした皿などを利用した場合、微小放電が発生することがある。これと同様に、被加熱物の中に針金、釘、針、クリップ、ヘアピンなどの金属片がある場合、その部分に電界が集中し焦げたり、放電が発生したりすることもある。又、マイクロ波オ−ブン内に金属部品同志の不完全接触部があったり、無負荷運転したりした場合も放電することがある。この放電は、前者の場合は金属片付近でのアーク放電のようなものが持続し、後者はプラズマ状放電のようになることが多い。このような放電が発生すると、その部分でエネルギーが消費されるばかりでなく、設備の破損に繋がりマグネトロンをも傷めることもある。最悪の場合、放電による熱でオーブンや導波管に穴が開きマイクロ波エネルギーが外部に漏れてくることも考えられる。

解決策としては、金属片の場合は除去が基本であり、事前に金属片を排除する機能を、例えば磁石を利した鉄系異物の吸着・除去、X線・誘導加熱・渦電流、磁化度合いなどを利用した、被加熱物に適応した検出機器を利用することとなる(最近の金属検知器では、0.4mm程度の金属片の検知は可能である)。尚、軽負荷・無負荷運転の防止策は装置に被処理物検出器を設けることにより対応可能で、無負荷運転を行わないことが原則である。

更に、どうしても放電発生が避けられない場合、加熱炉に放電検出センサーを設置して放電が発生したらマイクロ波発振停止のインタロックを設けたり、装置の中で放電で穴があく可能性がある付近にマイクロ波リークセンサを設置、マイクロ波漏洩を検知したら同じく発振停止のインタロックを設けることになる。

D 漏洩電波により通信機器などを誤作動させることがある。

最近は携帯電話・インターネット、無線・無人誘導車、大型クレーンなどの制御通信、各種自動機器などでの各種検出センサ、心臓ペースメーカなど社会全体で多用されている。誘電加熱装置からの漏洩電波により影響を受け誤作動することも考えられ、現実に電波漏洩が異常に多いと無線誘導車や大形クレーンの制御が誤作動してしまうことを経験している。対策としては次のことが考えられる。

*電波防護指針の遵守:

マイクロ波加熱装置を設計・製作するには、マイクロ波エネルギーの特性を良く知ったうえで、電波漏洩防止対策を考慮して設計・製作し、漏洩電波の許容電界強度を守り、無負荷運転は絶対しないよう制御・注意する必要がある。

*通信障害の場合:

加熱装置の電波漏洩発生箇所のシールド対策を十分行う。高周波加熱装置の場合にはシールドルームを用意することが多いようだが、周波数2450MHzのマイクロ波加熱装置で設置したとの情報は持ち合わせていない。尚、周波数915MHzの加熱装置ではシールドルームを設置することもある。特に携帯電話への影響は無視できないようである。万一、干渉が発生した場合には、障害を受ける側の通信手段の変更、例えばSS通信(スペクトラム拡散通信)などの利用を余儀なくされる場合もある。

*各種検出センサー:

半導体を利用した光電センサー、近接スイッチなどの場合、装置よりの電波漏洩を少なくすることは言うまでも無いが、漏洩電波に強いセンサーの選択(メーカによりかなり有意差がある)、制御機器を含むセンサーを金属カバーで覆ったり、通信ケーブルは電線管などを利用し配線施工したり、欲を言えば光ケーブルの利用を薦める。

*心臓ペースメーカー:

このような機器を利用されている方には、マイクロ波加熱装置及び誘電加熱装置の取扱い作業に従事することは避けていただくことが原則となる。

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