マイクロ波加熱

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E 作業環境の改善が図れる。

マイクロ波による装置の汚染などは、電波によるエネルギー伝送手段であるため考えられず、作業場所を汚さず衛生的である。更に、有害ガスの発生がなく、マイクロ波加熱炉(オ−ブン)も殆ど熱くならず、作業エリアへの放熱も殆ど無いため快適な作業環境を得ることが出来る。

従来の加熱炉の場合、炉自身が熱くなって、熱風なども漏れてくるため作業室内が暑くなることが多い。作業環境改善には、換気を十分に行いクーラの設置などを考慮しなければならず、設備投資、ランニングコストなども加熱・乾燥設備の選択の場合の重要な検討項目となる。

F 水などを短時間に沸騰させることが可能である。

共振器構造の加熱炉を用いてPD(被加熱物単位重量当たりの投入電力量;kW/kg)を大きくするとともに、整合器によるマッチングを利用すれば極めて短時間に水などの流体を加熱・温度上昇・蒸発させることが可能である。

尚、溶液などをマイクロ波で加熱・蒸発させる場合、オーブン内雰囲気が蒸気で熱くなり液表面での放熱が少なくなると、マイクロ波加熱の内部加熱の特徴から溶液の表面より内部が過加熱・蓄熱状態となり熱的にバランスが崩れると極めて大きな突沸現象が発生し水滴を大きく飛散させることがある。電子レンジでも同様の現象が発生することがあるので注意が必要である。解決手段としては「液体の攪拌」となる。

6.5.2 短所

@ 熱免走(ランナウェイ加熱)により局部加熱することがある。

被加熱物の組成の中で“tanδ・εr”の大きい部分がある場合、その部分にマイクロ波が集中的に吸収され異常過熱する、いわゆる“ランナウエイ加熱”と称する現象が発生することがある。この現象は、先にも述べたが、冷凍食品を解凍する場合に良く経験することで、冷凍食品の損失係数が小さい凍結部の一部が溶融(解凍)すると、その部分の損失係数が大きくなりマイクロ波エネルギーを効率良く吸収するようになる。その結果、他の部分は凍結状態なのに溶融部分は煮えてしまうという不具合が発生する。

解決策としてはマイクロ波エネルギーの間欠照射がある。これはマイクロ波照射して被加熱物を発熱させ、温度上昇のアンバランスの許せる範囲迄加熱した後、マイクロ波を切る。これにより過熱部の熱を加熱が甘い部分へ移動させ、温度上昇がほぼ平均化したら再度マイクロ波を照射する。この繰り返しを行うことによりほぼ均一に加熱可能となる(「繰り越し加熱」と称する)。更に、PD(被加熱物の単位重量当りの投入マイクロ波エネルギ−量;kW/kg。第二部にて詳述)を適切に設定したり(一般的には小さくして、緩慢に温度上昇するよう設定する)、冷風で過熱部分を冷却したり、氷の真空条件での昇華現象を利用して過熱部を冷却する方法などで対応している。

A 端面効果による過熱現象がある。

被加熱物に端面あるいは尖頭部などがある場合、雷が避雷針に誘導されるように、その部分にマイクロ波エネルギーで発生する電界が集中する傾向があり、それによる不均一加熱が発生することがある。

解決策としては、被加熱物の端部、尖塔部を無くすることが基本だが、前記「ランナウェイ加熱」対策と同様にマイクロ波エネルギーの間欠照射、PDの適切化、冷風を利用して被加熱物の過熱部を冷却したり、更には尖塔部などをアルミフォイルでカバーすることも解決策の一つとなる。

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