マイクロ波加熱

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6.5 マイクロ波加熱の特徴

マイクロ波加熱を含む誘電加熱は、従来の火炎、熱風、蒸気、電気ヒ−タ、レーザなどの遠赤外線を含む赤外線を利用した外部加熱方式と大きく異なる被加熱物自身が発熱する内部加熱方法で、従来法と比べた場合、得難い長所を有しているものの、逆に少なからず欠点もある。マイクロ波加熱を取り扱う場合、それらの得失を知ったうえで操る必要があり、以下、長所と欠点につき項目とその内容を説明する。

6.5.1 長所

@ 加熱時間が短かく、ほぼ均一に加熱することが出来る。

従来の外部加熱方式では、被加熱物の表面が昇温し、被加熱物自身の熱伝導(液体であれば対流も寄与する)によって被加熱物の内部へ熱が伝わり加熱される。一般的には誘電体の熱伝導率は小さいため、被加熱物全体を加熱・昇温するにはかなりの時間を必要とする。急速に加熱・昇温させようとした場合、熱源の温度を高くすることが考えられるが、被加熱物の表面と内部との温度勾配が大きくなり、内部の温度が十分昇温しないのに表層部の温度が上がり過ぎてしまい過乾燥、焦げるなどの品質面への影響が発生する。マイクロ波加熱は、被加熱物自身が発熱する内部加熱であるため、被加熱物の熱伝導の良し悪しに殆んど関係無く加熱・昇温・乾燥させることが可能なため、短時間に比較的均一に加熱処理することが可能である。

A 加熱効率が高い。

マイクロ波加熱(誘電加熱)は、被加熱物だけが発熱して加熱炉や雰囲気などは殆ど加熱されないため、熱効率が高い。50/60Hzの商用電源からマイクロ波出力への変換(発振)効率は、使用するマグネトロンの出力レベルに左・右される。一般的には、発振周波数2450MHzの場合、3〜6kW級のマグネトロンの発振効率は62〜68%(マイクロ波発振機とした場合の発振機効率は55〜61%)、1〜2kW級で65〜75%(発振機効率58〜67%)、電子レンジ用は75〜80%(発振機効率67〜72%)と順次高くなっている。

発振周波数915MHzのマグネトロンの場合は、周波数2450MHzの物と比べて発振効率が70〜80%とより高い。915MHzのマグネトロンの発振出力が大きいのは、波長が2450MHzに比べて2.67倍程度に長くなり共振器寸法の関係からマグネトロンが大きくなる。この結果、マグネトロンへ供給できる電力量も大きくすることが可能となり、単管当りの発振出力は数十〜100kWと大電力が得られると同時に、発振効率も高いものが得られる。発振周波数2450MHzのマグネトロンでも、発振出力20〜30kW程度の物が世の中にはあるが、寿命などのデータが乏しく研究用への使用例はあるが、工業用に利用しているとは聞いていない。

尚、マイクロ波電力の被加熱物へのマイクロ波吸収効率は、照射部の構造、投入被加熱物の形状・性状負荷量などに左右されるが、一般的には所要電力を算出する上では70%程度を採用している。従って、商用電源周波数(50/60Hz)から見た加熱に寄与するマイクロ波吸収効率は、3〜6kW級で38〜43%、1〜2kW級で40〜47%程度となる。更に発振周波数915MHzの場合、同様に検討するとマイクロ波吸収効率は、44〜50%と高くなる。従って、2450MHzより915MHzの方が省エネルギーとなる。表6.5.1 は、以上の発振効率、発振機効率、マイクロ波吸収効率などの値を纏めたのである。

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