マイクロ波加熱

前のページへ戻る このカテゴリーのトップへ 次のページへ進む

更に、電子レンジを利用し「湯豆腐、茶碗蒸し」などを加熱調理する場合にも、素材の殆どが水分であることを考慮すると、湯豆腐であれば周囲は加熱されるものの中心部の加熱は甘いとか或いは茶碗蒸であれば中心付近が固まらないというような不具合が発生してしまい、目的の湯豆腐・茶碗蒸しが得られないことがある。これは発振周波数2450MHzを利用している電子レンジが悪いのではなくて、原理的に加熱調理不可能なことを示している。周波数915MHzの電子レンジも考えられるがコスト面で対応困難となる。

尚、周波数2450MHzの場合と915MHzの場合の“物質の比誘電率と誘電体損失角及び電力半減深度Dの関係”を図6.3.3、図6.3.4 に示している。

図6.3.3 物質の比誘電率、誘電体損失角、電力半減深度の関係(2450MHz)
図6.3.3 物質の比誘電率、誘電体損失角、電力半減深度の関係(2450MHz)
図6.3.4 物質の比誘電率、誘電体損失角、電力半減深度の関係(915MHz)
図6.3.4 物質の比誘電率、誘電体損失角、電力半減深度の関係(915MHz)

これらの図から下記のようなことが判る。

@ 両図の上辺の浸透深さ(電力半減深度)の目盛を見ると、2450MHzでは「0.01〜10m」で915MHzでは「0.1〜30m」となっている。電力半減深度の算出式である(6.3.1)式を見ると周波数が分母に入っており、915MHzと2450MHzの比からこのような目盛となっている。

A 図の左下にあるテフロン、石英、ポリスチレン、アルミナ磁器の損失係数は小さいので殆どマイクロ波加熱されず、マイクロ波加熱装置の構造材として利用可能となる。

B 図の右方にある水、メチルアルコール、ネオプレンなどは損失係数が大きく、マイクロ波加熱され易いものとなり、マイクロ波加熱装置の構造材としては利用不可能となる。

C 損失係数が大きい同じ材質であっても、ブロック状か…? ペレット状か…? シート状か…?などにより発熱と熱放散のバランスから十分温度上昇しない場合もある。ナイロンなどはブロック状では加熱され温度上昇するが、シート状では放熱が大きく十分温度上昇しないことがある。

D 水の損失係数は、固体か…? 液体か…? によって大幅に変化している。…この損失係数の違いは冷凍食品を解凍する場合に大きな問題となる。即ち、冷凍品のある部位が先に溶けた場合、その部分の損失係数が大きくなり、そこにマイクロ波エネルギーが集中的に吸収されて過熱してしまう所謂「ランナウェイ加熱」が発生することが多い。

前のページへ戻る このカテゴリーのトップへ 次のページへ進む