マイクロ波加熱

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6.2 マイクロ波損失係数

ここで“εr・tanδ” は損失係数と呼ばれ、温度及び使用周波数により係数は変化する。この損失係数が大きいほど加熱され易いことを示している。尚、“誘電加熱”の中で発振周波数が数MHz〜数百MHzを使用する場合は“高周波加熱”(“誘電加熱”とも称する)、300MHz〜30GHzの所謂マイクロ波帯を用いる場合を“マイクロ波加熱”と一般的に区分している。
乾燥処理の目的は物質に含まれている水分を沸点まで加熱昇温し、更に気化熱分の熱量を供給し蒸発させることである。この水の“εr及びtanδの周波数特性”を図6.2.1に示している。本図から周波数103MHz付近のマイクロ波損失係数、所謂“εr・tanδ”が大きいことが分かり、このことが周波数2450MHzをマイクロ波加熱に用いることにしたのかもしれない…?

図6.2.1 水のεr及びtanδの周波数特性特
図6.2.1 水のεr及びtanδの周波数特性特

6.3 電力半減深度

マイクロ波加熱の可能性を検討する上で重要なものに電力半減深度がある。マイクロ波が誘電体中を浸透しながら吸収され熱に変って減衰していくが、この浸透性を示すものである。図6.3.1にあるように誘電体表面でのマイクロ波電力密度が1/2に半減するまでの深さで、これを電力半減深度Dと称し(6.3.1)式から算出可能である。誘導加熱の「浸透深さ」に当たるものと言える。 
D=3.32×107/f*(m) ・・・・・(6.3.1)

図6.3.1 電力半減深度
図6.3.1 電力半減深度

一般的にマイクロ波電力による均一加熱度合の限界は(2〜2.5)×D程度であり、これ以上厚い物質ではマイクロ波エネルギーが中心部へ到達する前に減衰してしまうため表層と中心部の温度差が大きくなってしまう。この結果、物質の表層と中心部の温度差が大きくなり、均一加熱が困難となる。 
興味ある例として、水と氷は同じ分子構造でも液体と固体の状態の損失係数を比べると、次頁図6.3.3 の通り水の方が氷より遥かに大きい。このことはマイクロ波を用い冷凍食品を解凍しようとする場合に、非常に厄介な問題となる。即ち、冷凍食品の一部分が先に溶けて水になると、損失係数が大きくなりマイクロ波は、この水の部分に集中的に吸収され、その部分だけが高温になってしまう、所謂「ランナウエイ加熱」が発生する。本現象は避けるためにはマイクロ波を間欠的に照射して被処理物内部の熱伝導による熱移動を利用するなどの工夫を加えれば、ほぼ均一に解凍可能である。図6.3.2 は水と氷の2450MHzと915MHzの場合の電力半減深度を図示したもので、前者よりも後者の方の電力半減深度が深く、大形の冷凍食品の解凍や大形耐火物の乾燥などに適していることが分かる。

図6.3.2 水と氷の電力半減深度
図6.3.2 水と氷の電力半減深度

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