マイクロ波加熱

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図6.1.4 誘電体損失
図6.1.4 誘電体損失

分極を生じさせる電界の方向が変化する周波数が高くなり、マイクロ波・高周波領域になると、双極子の方向反転運動は電界の方向の変化に追随できにくくなり、時間的な遅れが出てくる。このことにより多量のエネルギ−が消費され結局誘電体内で熱に変わることになる。双極子の運動の遅れにより巨視的に誘電体に流れることになる交番電流、即ち、図6.1.4 (a)で直流電圧の代りに図6.1.5(a)のように高周波電圧を印加した場合の等価回路は、図6.1.5(b)のようになる。即ち、ω=2πfとすれば全電流Iは、図6.1.5(c) のように合成でき、

I=I1+I2=(G+jω・C)V=jω・C[1−j(G/ω・C)]V ・・・・・ (6.1.5)

tanδ=I1/I2=G/ω・C=ε'r/εr ・・・・・ (6.1.6)

となる(εr:複素比誘電率の実数部、ε'r:複素比誘電率の虚数部)。

P=V・I1=G・V2=ω・C・V2・tanδ ・・・・・ (6.1.7)

尚、等価容量Cは、比誘電率εrに比例するから媒質が真空の場合の静電εr・Coとなり、この関係を (6.1.7)式に代入すると次の通りとなる。

P=ω・εr・Co・V2・tanδ ・・・・・ (6.1.8)

平板コンデンサの面積をA、電極間隔をdとすると、電極間静電容量Coは、

ο=εο・A/d (F) ・・・・・ (6.1.9)

で与えられ、これを (6.1.8)式に代入するとともに (6.1.3)式の関係を導入すると次式のようになる。

P=ω・εr・(εο・A/d)・(E・d)2・tanδ  ・・・・・(6.1.10)

ここで εο は真空の誘電率(10-9/36π),A・dは誘電体の体積ゆえ、単位体積当りの誘電体で消費される電力は(6.1.11)式となり、一般に見られる数式となる。

P=ω・εr・εο・E2・tanδ

=5/9・f・E2・εr・tanδ×10-10(W/m3) ・・・・・(6.1.11)

尚、tanδを誘電正接(=ε'r/εr:誘電体損失角とも言う)と称している。

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