マイクロ波の性質

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3.5 マイクロ波を取り扱う場合の制約

このようなマイクロ波は波長が極めて短いが故に、これを取り扱う場合に、長波長の電波とは異なるいろいろと困ることが発生し制約を受けることになる。以下それらを現象ごとに説明する。

@ マイクロ波発生回路などに抵抗、コンデンサが利用出来ない。

商用周波数である50/60Hzのような周波数が低い場合、抵抗とかコンデンサなどは純粋なものと考えることが出来る。しかしながらマイクロ波帯域になると、これらの素子の利用が困難となってくる。ここでコンデンサとコイルを用いた同調回路を検討してみる。インダクタンスL(H)と静電容量C(F)の同調周波数fはおなじみの(3.5.1)式となる。

f=1/(2π* ) (Hz) ・・・・・(3.5.1)

(3.5.1)式より周波数が高くなるにつれて、L及びCの定数は必然的に小さくしなければならないことになる。即ち、Lを小さくするにはコイルの巻数を減らさなければならず、Cを小さくするには電極板の面積を小さくして、その間隔を大きくすることでもある。何れの場合にも限度があることは言うまでも無い。更に、電線のインダクタンスとか、電線間のキャパシタンスなども考慮しなければならず、最早純粋な抵抗、コンデンサとして扱えなくなる。このように利用周波数帯が高くなるにつれて使用素子の寸法を小さくしなければならないが、自ずと限界があり、マイクロ波帯域で大電力に耐える素子を製作することは困難となる。

A マイクロ波伝送回路などで放射損、誘電体損失の増大する。

一方、損失の点から考えると周波数が上がるに従い各種の損失が増加してくる。回路素子や接続線材の寸法が波長と同程度になると共振現象により放射損が増大する。又、誘電体(絶縁物)を利用した場合誘電体損失が増え材質によっては異常な共振吸収を起すものもある。その上、導体を流れる電流も浸透深さが浅くなり、導体の表層に集中してくるため、表皮抵抗が増し抵抗損失も大きくなるとともに、高周波電流が電線などから空中へ放射される現象も無視できなくなる。即ち、電力伝送損失が大きくなり高周波電流の空中放射も現れるため、電線などを伝送線路として利用することは困難となり、導波管などの別のエネルギー伝送手段を取り入れなければならなくなる。

B マイクロ波帯域のエネルギーを得る手段

マイクロ波帯のエネルギーを得る手段を見てみると、この周波数帯域になると電子の走行時間が問題になり(周波数2,450MHzの場合、1/2周期で電子の移動距離は約60mm)、従来のL、Cを利用した発信器は利用できず(せいぜい数十MHz程度まで)、新しい形の真空管(マイクロ波管)の利用が必要となってくる。即ち、高い発振周波数が得られるマグネトロン、クライストロン、進行波管などのマイクロ波管の出番となる。

尚、ソリッドステート化された発信器もあるが、これは水晶振動子を利用して所定の周波数を発信させ、これを増幅器で増幅したものであり、得られる出力も100W程度、価格も高くまだ扱い難いと言える。

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