電磁波と電波

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1.電磁波と電波

我々が生活している地球を囲む宇宙空間には、図1.1.1 に示すように周波数の異なる多数の電磁波が入り乱れている。γ線・X線・紫外線・可視光線・赤外線(遠赤外線)などの電磁波、通信・ラジオ・TV放送・人工衛星・レ−ダ・携帯電話・医療機器などに利用されている電磁波、各種OA機器・携帯電話・高電圧送電線及び星などの宇宙空間からのノイズのような不要輻射を含む電磁波や超音波診断や部品などの洗浄に利用されている超音波など様々なものがある。我々人間からも体温相当の赤外線が放射されている。

図1.1.1 乱れ飛ぶ電磁波
図1.1.1 乱れ飛ぶ電磁波

電波法の第二条に、これらの電磁波のうち周波数が 3000GHz以下の帯域を電波と規程されている。この電波を利用して金属や誘電体(絶縁物)製物質を加熱する装置は、各産業分野で多数使用されている。通常、物質を加熱するための加熱源は温風・熱風、熱湯、蒸気、電気ヒ−タ、ガスバ−ナなどの遠赤外線を含んだ赤外線、所謂電磁波による加熱が一般的である。これらの加熱方法の基本は高温度の物体より低温の物体へ熱エネルギーが伝わるものであり、その伝熱機構は固体内では熱伝導、気体・液体では熱伝導・対流による熱伝達、離れた物体間では放射(輻射)伝熱の三形態から成っている。

これに対し同じ電磁波でも電波領域を利用した加熱形態には、周波数が高い順から誘電体(絶縁体)を加熱する「誘電加熱」、金属などを加熱する「誘導加熱」及び金属・誘電体を加熱する「ジュール加熱(抵抗加熱)」があり、これらの加熱機構は電波が直接被加熱物に作用することが赤外線による加熱とは根本的に異なる。

マイクロ波加熱は“誘電加熱”の一種ではあるが、電波のうち所謂マイクロ波帯域を利用して物質を加熱するもので、電子レンジはその代表的な利用例である。本稿では、その発熱原理、特徴(長所及び短所)、マイクロ波照射部、各種マイクロ波応用機器、マイクロ波管(電子管)、マイクロ波発振方法とその制御法、各種マイクロ波応用機器、マイクロ波領域での各種測定法、各種産業分野での応用例、注意事項・安全性のほか、良く質問される事項に対する回答などについて、高周波誘電加熱を含め、その概要を記述する。

大分類 小分類 周波数 波長 光子エネルギー
電離 γ線処理 10fm〜1pm 30〜0.3ZHz 106〜108eV
放射線 X線処理 1〜10000pm 300〜0.03EHz 102〜106eV
紫外線 紫外線処理 100〜380nm 3〜0.79PHz 3.3〜12eV
可視光線 可視光線 380〜750nm 0.79〜0.4PHz 1.6〜3.3eV
赤外線 赤外線加熱 0.75〜3μm
400〜0.3THz 1.6〜10-3eV
遠赤外線加熱 6〜15μm
(極遠赤外線) 15〜1000μm
電波 マイクロ波加熱 1〜1000mm 300〜0.3GHz 10-3〜10-6eV
高周波誘電加熱 1〜300m 300〜1MHz 10-6〜10-9eV
高周波誘導加熱 300m〜 〜300MHz 10-9eV〜
ジュール(抵抗)加熱 5000km〜 50/60Hz 205×10-13eV

*波長:1μm=10-6m,1nm=10-9m,1pm=10-12m,1fm=10-15

*周波数:1000Hz=1kHz,1000kHz=1MHz1000MHz=1GHz,1000GHz=1THz(テラ),1000THz=1PHz(ペタ),1000PHz=1EHz(エクサ),1000EHz=1ZHz(ゼタ)

表1.1.1 各種加熱方法の波長と周波数及び光子エネルギー
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